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蚕を育てる授業・・・お蚕さま日記

お蚕を育てましょう。

今年2013年の蚕育て     筆者:ベテラン先生の代理です。

まず、お蚕さまの卵

5月3日   

5月2日に、申し込み先から、蚕の卵が届きました。
昨年度は、群馬県蚕糸研究センターが、窓口となっていましたが、
今年は、蚕種は、群馬県以外には、
出さないことになってしまいました。
そこで、インターネットを通じて、業者から
2000円で、学校で購入しました。
( http://kaikokau.jp)
 送付元からの注意書きをそのまま書きます。
 「下記の保護とご注意を願います。
 ・温度は25~26℃湿度はできるだけ高くしてください。
 ・郵送箱から大きめなプラスチック容器に移し、新聞紙等を湿らせ、
  卵の周囲に置き、ふたをして保湿してください。
  ただし、直接水が卵に触れないようご注意ください。
 ・直射日光を避けた室内で、エアコンの風などが当たらない場所に置いてください。
 ・卵は重ならないように並べたあとは、触らないようにしてください。
 ・全部の卵が孵化するには、2~3日かかります。
 ・最初の日に孵化した蚕は、湿度があれば、そのまま翌日まで大丈夫です。
  2日目に残りの卵が孵化したら、エサを与えてください。成長がそろいます。
 ・蚕がいる部屋では、タバコや蚊取り線香、殺虫剤を使用しないでください。
 ・飼育開始予定日=5月10日~ 保護状態により、予定日が前後する場合があります」


蚕を飼う前の準備=桑の葉さがし・・・つけたしです。
蚕を飼う前に、えさの桑の木をどうするか、考え、準備しておかなくてはなりません。
かつて養蚕の盛んな地域ならば、わりに道端や林にも、桑の木があると思います。
それは、鳥が食べて、種がいたるところに落とされているからです。
しかし、そういう地域でなければ、なかなか難しいので、
学校の校庭に、桑の木を植えるのがいいと思います。
成長が早く、あっという間に大きくなってくれます。
小学校であれば、毎年、昆虫を育てる単元が、理科で3年生であるので、
それに生かすことができます。
桑の木の見分け方は次の写真を参考にしてください。
葉っぱを見れば、見分けが付けるようになると思います。
ほんとうは、桑の木はそのまま成長させると、巨大な木になりますが、
毎年、ある程度刈ってしまうと、そんなに大きくならず、
葉をとっても強い木なので、来年もまた、使わせてくれます。

桑の見分け方

こんなふうに、切れ込みの入った葉が特徴です。
冬にはわからないので、
前の年には、葉がある時に、見分けておく必要があります。
芽が出始めた早春に、近所を探して回れば、
案外近い所にある可能性もあります。
がんばって、さがしてみてください。

蚕の飼育のあとのこと・・・・・・つけたしです。
蚕から、繭を取り、製糸を体験する場合、
1クラス=35人が、繭から生糸を取るには、
1グループ・繭・3~5個×10グループ必要です。
(グループの人数は4人以下にしないと、何もしない子が出てしまいますので)
ということは繭の数は最少でも、30個、多ければ50個ぐらい。
そのためには、50匹ぐらいは飼う必要があります。



昨年の卵

1年間、ビニール袋に入れて、保管しておいた卵も ,
4月30日に冷蔵庫から出しました。
約10日ほどで、蚕の子ども=毛蚕(けご)になります。

紙箱の中に入れておく

紙箱の中に入れておくと
いいようです。
孵化までのようすを見守ります。
乾燥しないように気をつけて。

紙の箱

ちょうどいいのは、
贈答品のお菓子が入っているような箱。
それを、蚕の赤ちゃんの時から、
ちょっと大きくなるまで使います。
5~6箱、用意して、準備しておくといいでしょう。
(ただし、何匹飼うかにもよります)


お蚕さま誕生
5月11日

朝6時 生まれそうな卵

グレーがかった卵が、黒っぽくなってきて、
生まれそうなようすです。
1000匹、送られてきましたから、卵も1000個。

生まれかかった卵

半分身を乗り出し、生まれかかっている蚕の赤ちゃん。

朝7時、なんと、撮影中に続々誕生。

写真を撮影していたら、1時間しないうちに、
7時前に続々誕生。
赤ちゃんの蚕が見えますか?
これ以上拡大ができません。

毛蚕(けご)

ようやく拡大してみて、この大きさです。
指でつかめませんから、手で直接はさわりません。
葉っぱを使ったり、紙を使ったりして、
移動させたり、箱に移し替えたりします。

桑の葉をあげます。

もう、さっそく桑の葉を与えます。
上に置くだけでいいです。
まだ、桑の葉もやわらかいので、
どこをあげてもOKです。
なるべく乾燥しないように、
でも、そんなにたくさん必要ありません。この程度。

桑の葉の保管

桑の葉が、少し干からびてきたら、
蚕にも良くないので(湿気がある程度必要なので)
葉を、上から足します。
そのために、余分に取った桑の葉は
乾燥しないように、ビニール袋に入れて保管しておきます。

毛蚕も、もう食べ始めています。

蚕の上に葉をのせるので、蚕は、葉の裏から食べ始めます。
桑の葉を裏返してみると、もう、たくさんの毛蚕が
くっついています。
匂いで分かるのかな?ととても不思議です。

生まれた蚕の赤ちゃんを、動画で見てください。





5月12日夜11時

生まれて1日半。夜11時。

旺盛な食欲です。葉っぱは穴だらけ。
すでに、一回目の脱皮を終えているようです。←これは間違いでした¡!
5mmぐらいになっています。
白っぽくなり、頭が大きくなってきています。

葉の間で食べている蚕

葉っぱが乾燥してきたら、その上に葉を重ねます。
乾燥した葉を、捨てる必要はありません。
もしかしたら蚕の赤ちゃんが、
葉の間にいるかもしれないからです。
まだ、当分の間、葉を上から重ねていくだけで、大丈夫。
糞も、気にする必要はなく、
1日に2回ほど(朝と夜)葉を入れるだけです。

5月14日夜10時

成長するお蚕さま

たった2日しかたっていませんが、
かなり頭と体の大きさと色が違ってきました。
頭の方が、ちょっと大きめで、白っぽい。
よく体を動かしながら、桑の葉を食べています。
1日に桑の葉は、2回ほどではなく、
もう少し回数が増えます。
葉が、穴だらけになってくるので、食べ終わりそうだったら、
また、上から足してやります。

5月16日夜10時

ずいぶん大きくなりました。

14日よりも少し拡大してありますが、
それでも、大きくなりました。
1回目の脱皮は済んだようです。
脱皮した皮は見えません。
たぶん、下の方の干からびてしまった桑の葉の間に
残っていると思います。
まだまだ、葉を上にのせるだけでいいです。
お掃除は必要ありません。



生まれて一週間
5月18日朝9時

大きくなりました

やっと、カメラのズームに入って、
ピントが合うようになってきました。
大きさは、約7~8ミリくらいです。

朝・夕、ものすごい食欲です。

朝、起きてみると、桑の葉っぱは穴だらけ、
葉も少ししんなりしてきています。
桑の葉を食べながら、蚕は上に登ってくるのです。
だから、まるで、サンドイッチのようになって、
葉っぱの間あいだに、蚕がいます。
桑の葉を、蚕の上にのせてやるだけでいいのです。
一週間たったので、一番下の干からびた葉っぱは、
毛蚕がいないのをよく見ながら、確かめて捨てました。
→訂正です。

桑の葉をのせたところ

下に、白くシラスのように見えるのが、蚕。
何しろ千匹ですので、うじゃうじゃいます。
桑の葉をのせるのですが、これは写真用。
実際は、下の蚕が見えないくらい、どっさりのせてやります。
もし、雨でぬれていたら、タオルで、ふき取ってから
あげてください。湿気は必要ですが、
直接の雨の水分は良くないようです。
そして、箱のふたを閉めておきます。

蚕のうんち

お蚕さまのうんちは、
お蚕自身がまだまだ小さいので、粉のようです。
箱の底に落ちています。
ちょうど箱の底に落ちてしまったお蚕と
比べてみてください。
点々の粒粒がそれです。

ふんと、卵の抜け殻

箱の底には、ふんがたまっていますが、
さらさらとした粉のようです。
その上の真っ白い円形のものが、
卵の抜け殻です。
まだ、まだ、糞を始末する必要はありません。
湿気もありませんし、糞の始末の途中で、
毛蚕のような小さな蚕を捨ててしまいそうになるからです。
エサをどんどん足してやるだけで十分です。
生まれて一週間、少し成長したお蚕です。動画でどうぞ 旺盛に桑の葉を食べています。


5月21日夜11時

1cm超えました。

蚕らしい姿になってきましたね。
3日たっただけで、1,3cmあります。
しぐさも、頭を持ち上げて、
しばらく停止する様子も、よくあるしぐさです。
私は、かわいらしいと思いますが、どうでしょうか?
右下の葉っぱの穴は、食べた穴、
その横の小さい黒い点は、穴ではなくて、糞です。
糞も、大きくなってきて、粉のようではなくなってきました。

これが糞です。

蚕の模様も、よく見えるようになってきました。
もう少し大きくなってくると、
箱を変え、いくつもに分ける必要が出てきます。
過密状態で、飼っていると、
病気にもなりやすくなります。
要注意です。

5月23日夜10時

大きく大きくなっていきます。

今日の大きさは2cmを超えました。
この写真でわかるように、
お蚕は、葉脈だけを食べ残し、葉っぱをみな食べます。
だから、お蚕が乗っている上は、
葉脈だけのベッドのような感じです。
ちょっとふかふか。
まだ、朝夕2回ずつでいいのですが、
とにかくたくさん数がいるので、桑の葉がたくさんいります。

桑の葉

桑の木と、お蚕も、不思議な関係です。
そうやって、人間が育ててきたといえば
その通りでしょうけれど、
お蚕に合わせて、桑の木の葉もたくさん増え、
形も大きくなります。
上は大きいほうのは手のひらサイズ。下は、小さい方の葉。
どちらかと言えば、逆でしたね。桑の葉の芽吹きに合わせて、
毛蚕が生まれるように計算したのでした。



生まれて2週間
5月25日

フンの後始末

そろそろ、箱にたまったフンを、毎日捨てる必要が出てきます。
そのままにしておくと、よけいな水分で、病気になりやすくなります。
新しい葉もどんどんやる必要が出てきますし、
朝・昼・夜と3回になってきて、
たくさん葉も入る箱に替えてやっていきます。
フンの後始末は下の動画で見てください。
重要なことを書き忘れました。生き物なので、毎日家→学校→家と、
連れて帰ります。それが、ちょっと大変です。
フンの後始末のようすは動画でどうぞ。

桑の葉の保存

桑の葉は、1日3回取りに行くのは大変なので、
取りに行った葉は、乾燥しないように、
ビニール袋に入れて、密封しておきます。
それでも、毎日1回は取りに行かないといけません。
2~3日分をためておこうとしても、
蚕が新鮮な葉でないと食べてくれませんし、
元気に育ちません。雨でぬれた時には、
葉をよく拭いてあげて与えます。

5月27日夕方5時

白さが増してきたお蚕

模様も、両脇に斑点のような模様が、
三か所ぐらいに分かれてきます。
三回脱皮を終えたお蚕。
大きいものは4cmに達する勢い。
小さい物でも3cmを超えています。
朝・昼・夕・夜・・・4回ほど、たっぷりやります。
箱は、密集してくるので、変えます。
いくつかの箱に分けて育て始めます。

抜け殻

三回目の脱皮をした抜け殻。
そのたびに大きくなり、
たくましくモリモリ食べるようになります。
抜け殻は、下の方の葉の間に残っています。
ぜひ、さがしてみてください。

箱替え

箱を変えて、すみやすくしたところ。
大きな箱に変えて、葉っぱもたくさんやれるようにします。
箱替えの時の重要点は、移す時に、
葉の間に隠れているお蚕を、捨てないようにすること。
だんだん糞が水けを帯びてくるので、
これからは、糞の始末も必要になってきます。
下に敷く新聞紙を、時々替えてやります。上の動画でどうぞ。

5月29日 夜10時半

模様がはっきりしてきます。

白さが増し、模様もはっきりしてきます。
頭を盛んに動かし、桑の葉を探しています。
口もはっきりわかるようになってきて、どちらが頭か
どちらが尻尾の方か区別がすぐにわかるようになります。
旺盛な食欲です。

手のりお蚕さま

手にのせても、もう大丈夫です。
ぷよぷよして、やわらかい感じ、
頭を動かすのがかわいらしい。
虫が嫌いな子は苦手ですが、
そうでない子は、名前をつけたくなるぐらい、
かわいいと言います。
あともう少しで繭を作りますね。、

ここで重要事項を記述するのを忘れていました。
小学生で、理科などで各子どもが、飼育する場合にどうしたらいいか・・・・・
①卵の段階から、10個くらいの卵を預け、毎日家に持ち帰らせて観察させます。小さな紙箱利用。
②卵から生まれたら、5匹程度に減らして、ずっと飼育させます。
③今回の場合は、学校に桑畑(桑の木が10本ほど)あるので、そこの桑の葉を
 朝・夕と、蚕に与えさせます。
④毎日持ち帰らせるのは、観察のためですが、大きくなってきた場合は、
 夜に与える分の桑の葉をビニール袋に密封して持ち帰るか、
 近所の桑の木を探すかして、与えるようにと言っておきます。
⑤最後まで世話をさせて、繭をつくらせ、交尾して卵を産むまで、各自で小3でがんばってやります。


生まれて3週間
6月2日 15時

ますます大きくなるお蚕

大きさは、6cmを超えました。
もう、大きな箱でないと、たくさんは飼えません。
静かにしていると、サクサクという、
お蚕が桑の葉を食べている音が聞こえてきます。
ちょっと茶色っぽくなってきました。

桑の葉も大きくなりました。

桑の葉もどんどん大きくなり、蚕にうってつけの
大きさになっていきます。
毎日、箱の一番下の軸だけになった葉っぱの芯を捨てて、
フンも捨て、蚕を入れてから上に桑の葉をたっぷりこんもりと
のせてあげる仕事が大変です。
でも、もう少し。食べなくなったら繭を作り始めます。
食べて食べて大きくなってね。

6月3日9時半

まぶしの作り方①

そろそろ、蚕のマンション、まぶしを作ります。
繭を作るための、各部屋を作るのです。
農家では、わらで作った物がほとんどですが、学校ですので、
工作用紙で作ります。
工作用紙を4cm幅に切ります。
1枚の工作用紙から、4cm×30cmの紙が、11本取れます。
5cmごとに、2,5cmの深さの切れ目を入れます。

まぶしの作り方②

この工作用紙を組み合わせます。工作用紙1枚で、
6×6個の個室ができます。ただし、これを入る箱に入れて、
箱とまぶしの間の部屋も数に入れてです。
ここに、一匹ずつ、入れてやるのです。
だから36匹が入れるマンションのようです。
入れてやる時期については、これから動画と写真で
説明する予定です。
蚕の幼虫の数だけ部屋が必要ですから、大変です。

6月4日夜9時

丸々と太ったお蚕

だいぶ大きくなり、長さだけではなく、
太さも太くなりました。
指の太さくらいの太さになっています。
顔もはっきりしてきて、
一生懸命食べるサクサクした音がしています。

葉の裏から顔を出すお蚕

葉の裏側からも食べ始め、
顔の先がちょっぴりのぞいています。
黙々と食べています。
おとなしいお蚕に、中学生が名前を付けて
「かいちゃん」「こうちゃん」とつけています。
そのままじゃないですか???という評判でした。
動画でどうぞ。黙々と食べています。


生まれて4週間
6月8日 朝10時

巨大化したお蚕

数ミリだった毛蚕の赤ちゃんが、
7cmを超えるような大きさになりました。
最初の卵のところに付け足しましたが、
蚕の飼育の目的が、繭からの糸取りなら、1クラス分、
最少でも50匹の飼育が必要になります。
それを見越して、蚕は飼い始める必要がありました。
今年は、我が家ではおよそ 千数百匹飼っています。
養蚕農家のはしくれという感じになってしまっています。

桑の葉を採りに行く

3時間ごとに桑をやるようになり、
休み時間ごとに箱の中の桑の葉が、葉脈だけになっていれば、
桑を足してやります。昨日は6回ほど桑をやりました。
そのためには、45Lのごみ袋一杯の桑の葉が必要で、1日2回、
毎回バイクで近所中の桑の葉を採りに行ってきます。
国道沿いの道筋など、いたるところにあります。
採った葉は、袋に入れて保管してあります。
桑の葉を取りに行くのも、フンの始末も大変です。

桑の実

この時期、桑の実が成っています。
白い実が、だんだん赤くなり、最後には真っ黒になります。
不気味ですが、鳥たちはよく知っていて、
この実がおいしいことを知っています。
真っ黒な実が熟すると、ほんとうに人間にとっても、
甘くておいしい・・・・昔はおやつ代わりに・・・
というのもうなづけます。

まぶしの用意

このように、お蚕が入るまぶしも、着々と用意していきます。
桑の葉を食べるスピードが落ちてきて、
頭を振り始めたら、そろそろその時期が近づいてきます。
あまり早く入れてしまうと、もぞもぞ動き回ってしまうので、
よく見て、部屋に入れてあげるのですが、
その様子については、近づいてから、また動画にしますので、
よくご覧ください。


繭を作る
6月9日朝10時

お蚕の見分け方①

繭を作り始めるお蚕は、左の蚕のように体が透き通ってきて、
体の中の器官のようなものが透けて見えます。
だから、ちょっと茶色っぽくなった感じ。
桑の葉を食べなくなります。

お蚕の見分け方②

繭を作りたいお蚕は、箱をよじ上り始めます。
箱にふたをしているので、箱の隅があれば、繭を作ってしまいます。
上に登ってくるような蚕、頭をしきりに降るような蚕を
まぶしの部屋に入れていってやります。

待ちきれなくて作ってしまった繭

例えば、夜の間に、ふたと箱の隅に囲まれた空間に
繭を作ってしまった蚕です。
ある程度作ってしまうと、それから移動させると、
繭を作らずに死んでしまいます。
だから、もうこのくらい、繭の形がうっすらと
できるくらい作ってしまったお蚕は、
そのままそこで、繭を作ってもらいます。

繭を作り始めます

繭を作り始めたお蚕は、24時間もっともっと糸を吐き続けます。
完成するまで2~3日、それまでは待ちます。
朝の光に反射する生糸は、とても美しいでしょう?
すごい仕事をする虫だと思います。
虫嫌いの人が見ると、いやかもしれませんが、
動画でその様子を見ると、ほんとうに、勤勉な虫だなあと、
感心してしまいます。

お蚕の見分け方③

一旦まぶしの部屋に入れても、まだ、早ければ、
家が気に入らないかのように、お蚕はよじ登ってきます。
でも、また部屋に入れてやります。
そうしないと、箱の外、どこにでも囲われた空間で、
繭を作ってしまいますから、ビックリすることになりかねません。
「あれっ、こんなところに・・・・」というふうに。

まぶしを重ねて

たくさんお蚕がいる時は、こうやってまぶしを重ねて、間に紙を挟みます。
部屋を囲ってやれば、次々と繭を作ってくれます。
ただ、養蚕農家は、合理的なまぶしを作っていて、
回転する方式にしてつるしています。
繭をたくさん作ったまぶしは下の方に下がり、
まだ作ってない方の軽いまぶしに蚕はよじ登りながら、
適当な部屋を見つけて繭を作る・・・・
何千何万匹と飼う、さすが、農家の知恵なのだと驚いたことがあります。

まだまだ繭づくりにならない蚕

まだ、食べ続けているお蚕は、食欲が旺盛で、
1日6回えさをやっても足りません。
見ている間に、どんどん食べ進んでいきます。
その音と、その動作に、驚かされます。

桑の葉を取ったあと

毎日桑の葉をやったあと、
山と残った桑の木の枝です。
さすが、1000匹となると、食べる量がすごくて、
今年も困って、桑の木探しを続けながら、
エサをやっています。
大木の情報もあり、近所中を探しています。
蚕の見分け方とまぶしに入れるところの動画です。



蚕が繭を作っているところ、八の字を描いて、口から糸を吐き出します。


6月11日10時半

繭の完成

続々と繭ができ始めています。
早い蚕は、もう真っ白な繭を作って、
中では、静かにさなぎになっているのでしょう。
一番早く繭を作り始めたのは、6月8日でした。
それらの繭は作り始めから10日ほど待って、
ドライアップして中のさなぎを、
申し訳ないですが、命を奪ってしまいます。
予定では19日ごろからでしょうか?

きらきら光る繭の糸

あまりに美しいので、見とれて撮りました。
蛍光灯の光に、キラキラ光っています。
ドライアップ=乾燥する日にちをまちがえると、
繭を食い破って蛾になってしまいますので、
紙のまぶしに、作り始めた日にちを書いておきます。

透けて見える繭

もう繭になってしまったお蚕もいる一方で、
これから糸を吐き始める蚕もいます。
まあるく形ができ始めていながら、
まだ中の透けて見えるお蚕のようすを、
子どもたちも、不思議で仕方ないように、
何度もいつまでも、見ていようとします。
見飽きるということがありません。


繭をそのまま持たせるために…ドライアップの方法
6月17日

見事な繭の一群

千匹のお蚕が、繭になっていきました。
ほとんどもう残っていません。
見事なマンションです。
繭を作り始めて10日ぐらいになると、
ドライアップ(乾燥死)のために、ふとん乾燥機で、
熱風を送る作業をします。そうしないと、蛾になってしまいます。
繭として保存できません。

段ボールに穴をあけて、送風する。

ふとん乾燥機の口に合うように、
段ボールに穴をあけて差し込みます。
熱風と、臭いがあるので、いつも庭に置いてします。
朝、タイマーで最高時間までセットし、出かけます。
また、家に帰ってきたら、スイッチを入れて、
乾燥させます。なるべく、切れたら、入れる・・・
そうやって1週間ほど続けます。

二段重ねで二台の乾燥機

ふた箱、乾燥させています。
子どもたちが、預かっていたお蚕さまも
繭になり、それも集めて、ドライアップです。
まぶしから取り出して、まとめてやってもいいのですが、
なるべく、風が全部にあたるように、
それからまぶしのままからの方が、繭のようすがわかるということで、
この場合は、まぶしのまま、乾燥させています。

6月27日

繭の保存

もう、死んでしまった繭は、そのまま保存できます。
ただし、そのままにしておくと、衣類に付く虫がついて
穴をあけられてしまったりします。
外側は何ともないように見えても、
食べられてしまい、中のさなぎが、粉々になり、
絹糸を取る時のお湯が、まっ茶色になることもあるので、
衣類用の防虫剤を入れて、ビニール袋に密封したほうがいいでしょう。


蚕の来年用の卵が欲しい場合?
6月30日朝9時半

ドライアップしない繭から

蚕に産卵させたい場合は、もちろんドライアップせずに、
そのまま待ちます。
我が家の場合は、少し汚れた繭や
小さすぎる繭などを誕生用にしました。
一週間か、10日ほどすると、蚕蛾が生まれます。
オスは腹部が小さく、メスは腹部が大きいので見分けます。

蚕蛾の誕生

繭を破って出てきました。
体をゆすりながら、少しずつ、少しずつ出てきます。
15分ほどかけて蚕蛾が誕生します。
人間の品種改良のせいで、
蚕蛾は、羽ばたいても飛べません。

繭から抜け出た瞬間

繭から出てきた蚕蛾は、まだ、茶色い色も残り、
羽も小さくて、伸びきっていません。
出てきた後は、疲れてしまったように、
休みながら、羽が乾いて伸びてくるのを
待っているような、・・・そんな様子です。
これは、メスですね。

繭の穴

蚕蛾が出てきた後の繭の穴。
すっぽり出てきたような面白い穴の形です。
食い破ってきたようには見えないので、
最初から、繭を作る時に、
薄いところでも、作ってあるのでしょうか?

蚕蛾の抜けた繭の中

繭を切ってみると、幼虫からさなぎになる時の
脱皮した抜け殻と、
最後のさなぎの抜け殻とが、
仲良く納まっていたような感じです。

メスの蚕蛾

腹部がとても太いのがわかります。
少し羽も伸びてきました。
この時は、オスがもう前の日に、
誕生していたので、
何に反応するのか?ホルモンか?
メスが誕生してからすぐに、メスにアタックしようと、
オスが猛然と近づいて行きました。

オスの蚕蛾

もう、前日に、オスの方は羽化していたので、
真っ白です。
羽も伸びて、胴があまり太くないので、
オスだとわかります。
メスが生まれたあとすぐに、猛然と羽ばたきながら、
メスを探して、近づいて行きました。

交尾

そこで、二匹を取り出し、
画用紙の上にのせました。
すると、すぐに交尾を始めました。
驚いたことに、交尾をしている時はじっとしているので、
もう死んでしまったのかと思っていたくらいです。
そうして、約半日ほどそのままでした。
上から透明なカップをのせておきます。

6月30日夜10時

産卵

アッと気付くと夜になって、
卵が産みつけられていました。
その間は、時々見ていたのですが、
気付きませんでした。
ここでは、黄色く見えますが、
肉眼では、真っ白のきれいな卵に見えました。

産卵

そろりそろりと卵を産み付けていきます。
ゆっくりなスピードでした。
小さい真っ白な粒でした。
夜なので、蛍光灯の灯りで
黄色く見えてしまいます。

卵の数

全部で、いくつぐらいあるでしょうか?
この数ぐらい産み付けていました。
来年まで持たせるには、
乾燥を防ぐため、ビニール袋に入れて、冷蔵庫に入れておきます。
不思議なことですが、来年、冷蔵庫から出して、
10日ほどすると、毛蚕が、また生まれると思います。
下に、羽化、交尾、産卵の動画をのせました。
ご覧ください。ちょっと長編です。





7月6日12時

交尾したあと、数日後

蚕蛾は、オスもメスも死んでいます。
羽もカサカサになり、命を終えた姿です。

卵は黒色に・・・・

最初産み付けられた卵は真っ白なのに、
数日経つと、真っ黒になっています。
これで、蚕の飼育はサイクルを終えました。
ご苦労様でしたね、お蚕様たち。
また、今年も繭を作り、卵を産んでくれてありがとう。






































2012年    筆者:ベテランよしみ先生

5月8日

蚕の卵

群馬県蚕糸研究センターに、群馬県蚕糸技術センター
連休明けに孵化するように注文しました。
一匹の蚕蛾が産んだ500粒(1ガというそうです)ほどの
蚕卵紙を2枚、学校で購入(2000円)してもらいました。
品種は糸を取るために、大きな繭を作るものを注文しました。
届いた品種は「世紀二一」で、群馬県で開発されたものだそうです。
和種の「小石丸」と中国種のお蚕を掛け合わせて作った品種です。

孵化・・・蚕誕生

白っぽいところがすでに孵化した卵です。
卵からうまれたばかりのお蚕は黒い毛虫状態なので
毛蚕(けご)と言うそうです。
生まれたすぐから桑の葉を食べ始めます。
生まれるのは明け方ですから、朝起きて直ぐに様子を見て、
生まれていたら、すぐにお蚕の葉をあげなければなりません。
蚕を飼う時には、充分な桑の葉が必要です。

白い蚕へ・・・蚕の赤ちゃん

数日で黒い毛虫状態から、白っぽいお蚕になっていきます。
お蚕を飼うには紙の箱がいいのです。
湿気を一定に保ってくれるからです。
ある程度の湿気がないと、生きていけません

桑の葉・・・蚕のエサ

生まれてすぐから食欲旺盛です。
新鮮な桑の葉を常にあげておかなければなりません。
また、桑の葉は多めに入れておくと、
桑の葉が乾燥しにくくなります。
うんちもまだまだ小さく、粉のような状態です。
葉は、上に重ねておきます。
うんちもそのままで、まだかまいません。

5月19日

幼虫から成虫へ

孵化してから2回脱皮し、3令虫になりました。
モンシロチョウは孵化すると、卵の殻を食べてしまうし、
脱皮した皮も食べてしまいますが、お蚕は、食べません。
それで、脱皮した皮が、桑の葉にへばりついて残っているので、
脱皮したことが分かります。
お蚕は繭つくりまでに4回脱皮して、どんどん大きくなります。

脱皮・食欲

画鋲の左右、桑の葉にへばりついているのが脱皮した皮です。
4回脱皮をしたあとの5令虫は、ものすごい食欲を発揮します。
山のように桑の葉をあげても、数時間で食べつくしてしまいます。
食べて食べて食べ続けるからです。
うんちもあずき大くらい大きなものを,ころっと出します。
そんな様子を子どもたちは面白がって見ています。
また、夜など周囲が静かになると、
お蚕が桑の葉を食(は)む音が雨の降る音に聞こえます。

桑の木

学校には、以前の校長が作ってくれた桑畑があります。
桑の木は10本ほどありますが、
用務員さんが手入れをしてくれていて、
質の良い桑の葉が採れます。
しかし、80人近い、3年生が桑の葉を採ると、はげ坊主になってきます。
特に5令虫になると、その食欲はすさまじく、
学校の桑だけでは足りなくなってきます。

近所の桑の木

でも、大丈夫。
この桑畑だけでなく、学校の近くにも、
あちこちに、桑の木があるからです。
学校から2~3分のところには、川があり、河川敷に
大きな桑の木が何本もあります。
それもそのはず、かつては、この地でも盛んに
養蚕が行われていたからです。

6月4日

まぶし・・・蚕のマンション

5令虫になって9日ほど(気温や桑の葉のあげ方、個体差にもよる)
経つと、いよいよ繭を作り始めます。
桑の葉を食べまくって丸々と大きくなったお蚕は、
体がこれまでの白から透けるような感じになります。
そして上体を持ち上げて、頭の方をゆらしたり、
箱の端っこのほうを、うろうろし始めます。
そのようになったら、まぶしに移してやります。
まぶしとは繭を作るための個室のようなものです。

繭づくり・その1

お蚕は平場では繭を作ることができません。
繭を固定するためには壁が必要なのです。
そこで事前に子どもたちにもまぶしを作っておくようにします。
四センチに切った工作用紙を組み合わせて
四センチ×五センチのマスを作るのです。
繭を作り始めるお蚕の体は、少し小さくなります。
そして、まぶしの壁に糸を張ると、繭を作っていきます。

繭づくり・その2

「頭を八の字に動かして作っている。」
と言ったのは「S君」でした。
繭を作っているようすをよおく見ていたから
そのようなことがわかったのです。
透けて見えていたお蚕が
だんだん見えなくなってきました。

繭完成

二~三日で繭が完成します。
「小石丸」の繭は小さくピーナッツ型で、糸が取りにくいのですが、
今回の「世紀二一」は大きな繭なので、糸取りがやり易そうです。
しかし「小石丸」は細い、いい生糸が取れます。
小石丸でも三年生が糸取りできますが、
やはり大きな繭の方が見た目がいいのです。

見出し…繭完成

まぶしにきれいに並んだ繭。美しいものです。
お蚕はこのシェルター(繭)の中で、さなぎに変身し、
さらに、蚕蛾に変身して、繭から出てくるのです。
モンシロチョウ、アゲハのさなぎは、三年生に見せたので、
お蚕のさなぎもこれから見ることにします。
そのためには、繭をはさみで切り開かねばなりません。
毎回そうですが、 子どもたちは大騒ぎになるでしょう。


6月28日

繭の不思議・・・さなぎ

お蚕は繭というシェルターの中で大変身をします。
お蚕のさなぎの姿を見るためには、繭を切り開かなければなりません。
これがなかなかスリリングなのです。
繭の中のお蚕は、お蚕の皮を脱ぎ、まず、さなぎに変身します。
さらに、1週間ほどかかって、蚕蛾に大変身し、
繭から出てくるのです。
繭つくりが終わって数日経った繭を、耳のそばで振ってみて、
カラカラ音がすればちようどいい頃合いです。

繭を切り開く・・・さなぎ

長丸の繭の片方からはさみで切っていきます。
切って見えたさなぎが写真のものです。
こわごわ切っている子もいれば、興味深そうにやっている子もいます。
さなぎがふにゅふにゅ動くのを見て、きやーきゃー言う子もいます。
いずれも、秘密のものを見る、不思議なものを見る、 
見てはいけないものを見る、といった感じで、興奮気味です。
子こどもたちにはノートにスケッチをさせ、さなぎを切った繭に戻させました何日かでちゃんと蚕蛾になってくれます。

さなぎの不思議・・・変身の理由

さて、完全変態の昆虫は、なぜ「さなぎ」になるのか?
幼虫の姿と成虫の姿とでは、全然違うものになるために、
大変身をしなければならないのです。
変身しなければ、、・・・例えばモンシロチョウ、
小さな小さなチョウの姿で生まれたら、
蜜を吸えずに死んでしまうでしょう。
だから、生まれてすぐキャベツの葉を食べられるように、
青虫の姿で生まれてくるのです。自然とは実にうまくできています。

交尾

繭から出てきた蛾は飛べませんが、
交尾の相手を求めてバタバタ動き回ります。
繭から出てきた蚕蛾はすぐに交尾をします。
腹がふくれている方がメス、腹のスリムな方がオスです。
蛾は何も食べません。交尾をし、卵を産んで死んでいきます。
子どもたちの育てたお蚕は、すべて蚕蛾にまでさせます。
子どもたちに渡したお蚕は、今年は5匹でした。

産卵・・・卵の産み付け

蚕蛾が、箱から出ないようにして、
さらに、給食で出たゼリーのカップをかぶせておきます。
下には新しい画用紙などの紙をしいておきます。
そうすれば、交尾を終えた蚕蛾は、
このカップの中に卵を産んでくれます。
卵を産み付ける紙とカップは、たくさん用意しておき、
子どもたちに渡せるようにしておきます。

来年へ・・・冷蔵庫保管

カップを被せられた蚕蛾は、この写真のように丸く卵を産みつけます。
産み付けた紙は、ポリ袋に入れ、理科室の冷蔵庫に入れておきます。
来年の3年生のために。
また、交尾を終え、産卵も終えて死んだ蚕蛾も、回収します。
そして、まとめて埋葬します。
お経をとなえ、学習に役立ってくれたことに、
感謝しつつ埋葬するのです。
南無・・・摩訶般若心経・・・

6月29日

蚕の乾燥死・・・繭の糸取りのために

繭を作ったお蚕の大部分は、糸取りのために
ドライアップ(乾燥死)します。
繭を段ボール箱に入れ、布団乾燥機で熱風を送ります。
かなり臭うので、これは外でやります。
数日間かけて、繭の中のさなぎがミイラ状態になるまで乾燥します
ダンボール箱は、閉め切ったままだと熱がこもりすぎて、         乾燥器の安全装置が働いてしまいます。
ですから、箱からはある程度、熱を逃がすようにしてやります。

繭の保存・・・製糸の日まで

こうしてドライアップした繭は、湿気と虫に気をつければ、
(防湿防虫剤を入れて)、長い間保存しておくことができます。
これで、いつでも糸取りの授業ができます。
明日、前任校の3年生2クラスで2時間ずつ
糸取りの出前授業をしてきます。
今の学校は、例年かなり後になります。
すぐに糸取りをするようでしたら、冷凍死させてもよいでしょう。 


蚕の繭からの糸取りは次の動画でご覧ください。                     
                     

人間の歴史の授業を創る会

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